ジーン・ウェブスター
あしながおじさん
第 17 部
謹んで、わが最もすぐれたる陛下へ。
今朝わたくしは、冷えたターキー・パイとガチョウで朝食をいたしました。
そして、お茶というもの(一種の中国風の飲み物だそうです)を一杯持ってこさせました。こんなものを飲むのは生まれて初めてでしたの。
でも心配しないで、ダディ。わたし、気が変になったわけじゃないの。ただサミュエル・ピープスのまねをしているだけ。いま英文学史の授業で、原典として彼を読んでいるの。サリーとジュリアとわたしは、いまでは一六六〇年の言葉で会話するほどよ。たとえばこんなの。
「チャリング・クロスへ行き、ハリソン少将が絞首、引き裂き、八つ裂きにされるのを見た。本人は、ああいう境遇の人間としてはこのうえなく朗らかに見えた。」
それから、こんなの。
「亡きょうだいを斑点熱で失った我が夫人と昼食をともにす。夫人は喪服姿もたいそう美し。」
ずいぶん早いうちから人を楽しませることに熱心だったみたいじゃない? ピープスの友人のひとりは、腐りかけた古い食料を貧しい人たちに売って、その金で国王の借金を返すという、なかなか抜け目のない方法を考えついたのですって。改革家であるあなたは、それをどう思う? 今の世の中は新聞が言うほどひどくないんじゃないかって気がしてくるわ。
サミュエルは、どんな女の子にも負けないくらい服に夢中だったのよ。奥さんの五倍も衣装代を使っていたんですって。まさに夫たちの黄金時代ね。こんな日記の一節、胸を打たれない? 本当に正直な人だったのよ。
「本日、金ボタンのついた見事なキャメレットの外套が届く。たいそう高価であり、どうか神がその代金を払えるよう取り計らってくださることを祈る。」
ピープスのことばかりでごめんなさい。彼について特別レポートを書いているところなの。
ねえ、ダディ、どう思う? 自治会が十時消灯の規則を廃止したの。望むなら一晩中明かりをつけていてもよくなったのよ。ただし、ほかの人の迷惑にならないこと、それから大がかりなお客騒ぎをしないことが条件。結果は、人間の本性についてのじつに見事な注釈になったわ。好きなだけ夜更かししてよいことになると、だれも夜更かししたがらなくなるの。九時にはもう頭がこっくりしはじめて、九時半には力の抜けた手からペンがぽとりと落ちるのよ。いまちょうど九時半。おやすみなさい。
日曜日
たったいま教会から帰ってきたところ。説教師はジョージア州の人だったわ。知性を発達させるあまり感情の性質を損なってはいけない、とおっしゃるのだけれど、わたしに言わせれば、なんとも貧弱で乾ききった説教でしたわ(これもまたピープス風)。アメリカのどこから来ようと、カナダから来ようと、どの宗派の人だろうと、聞かされる説教はいつも同じなの。どうして男子大学へ行って、あまり勉強に打ち込みすぎて男らしい本性を押しつぶされないようにしなさい、って学生たちに言わないのかしら。
今日はほんとうにきれいなお天気。凍えるほど寒くて、道はつるつるで、空気は澄みきってる。お昼がすんだら、サリーとジュリアとマーティ・キーンとエレナー・プラット(わたしの友だちだけど、あなたは知らないわね)と一緒に、短いスカートをはいて野原を横切ってクリスタル・スプリング農場まで歩いていって、フライドチキンとワッフルの夕食を食べ、そのあとクリスタル・スプリングさんの荷馬車で送ってもらうの。ほんとうは七時までに校内へ戻らなくちゃいけないのだけれど、今夜は少し規則を大目に見てもらって、八時にするつもり。
では、ごきげんよう、親切なお方。
謹んで申し上げます。
あなたの最も忠実で、従順で、誠実なるしもべ、
J・アボット
三月五日
親愛なる理事さまへ。
明日は月の第一水曜日。ジョン・グリア孤児院にとっては気の重い一日でしょうね。五時になって、あなたがたがみんなの頭をなでて、さっさと引き上げてくれたら、どれほどほっとすることでしょう。ダディ、あなたは(個人的に)わたしの頭をなでたことがあったかしら? たぶんないわ。わたしの記憶に残っているのは、太った理事さんたちばかりだもの。
どうか孤児院によろしく伝えてください。本当に、心からの愛をこめて。四年という霞をへだてて振り返ると、あの場所に対してかなりやさしい気持ちになるの。大学へ来たばかりのころは、ほかの女の子たちが持っていたような普通の子ども時代を奪われた気がして、かなり腹立たしかった。でも今は、ぜんぜんそんなふうに感じないの。あれはとても特別な冒険だったんだと思う。人生を少し離れたところから眺められる、高い見晴らし台をもらったみたいなものなの。十分に成長してから世の中へ出てきたおかげで、物ごとの見え方に遠近感があるのよ。渦中で育ってきた人たちには、まるで欠けているものが。
たくさんの女の子を知っているわ。たとえばジュリアなんて、自分が幸福だってことに気づきもしないの。あまりにそれに慣れすぎていて、感覚が鈍っているのね。でも、わたしは違う。人生の一瞬一瞬、自分が幸せだってことをちゃんと知っているの。これからもずっとそうしていくつもり。どんな不愉快なことが起ころうとも。歯痛でさえ、ひとつの興味深い経験だと思って、どんな感じがするのか知れてよかったと思うつもりなの。
「どんな空が頭上にあろうとも、わたしの心はどんな運命にも耐えられる。」
でもね、ダディ、この新しいJ.G.H.への愛情を文字どおりに受け取らないで。もしわたしがルソーみたいに五人子どもを持ったとしても、質素に育ててもらうために捨て子養育院の玄関先へ置いてくるようなことはしないわ。
リペット夫人にもどうぞよろしくお伝えください(これは本当だと思うわ。愛を送るというにはちょっと言いすぎだもの)。そして、わたしがどんなに美しい性格に成長したか、忘れずに話してあげてね。
愛をこめて
ジュディ
ロック・ウィロー
四月四日
親愛なるダディへ。
消印をご覧になって? サリーとわたし、復活祭の休暇をロック・ウィローで優雅に過ごしているの。十日間の休みをどう使うのがいちばんいいか考えて、静かな場所へ来ることにしたのよ。わたしたちの神経は、ファーガソン寮でこれ以上食事をするのに耐えられないところまできていたの。四百人の女の子と同じ部屋で食事をするなんて、疲れているときには一種の苦行よ。あまりに騒がしくて、向かいの席の子の声を聞こうと思ったら、両手をメガホンみたいにして叫んでもらわなくちゃならないの。本当にそうなのよ。
わたしたち、丘を歩き回ったり、本を読んだり、書きものをしたりして、静かで気持ちのいい時間を過ごしているわ。今朝は「スカイ・ヒル」のてっぺんまで登ったの。昔、ジャーヴィー様とわたしがそこで夕食を作ったことがあるのよ。あれがもう二年近く前だなんて、とても信じられない。焚き火の煙で岩が黒くなった場所が、まだちゃんとわかったわ。おかしなものね、ある場所って特定の人と結びついてしまって、そこへ戻るたびにその人を思い出さずにはいられなくなるの。彼がいなくて、ちょっとだけ寂しかったわ。二分間ほどね。
ねえダディ、わたしの最近の活動、何だと思う? きっと、わたしはつくづく懲りない子だって思い始めるでしょうね。実は、本を書いているの。三週間前に書き始めて、むしゃむしゃ食べるみたいな勢いで書き進めているのよ。とうとうこつをつかんだわ。ジャーヴィー様も、あの編集者の男の人も正しかった。自分の知っていることについて書くとき、人はほんとうにいちばん説得力を持つのね。そして今度の題材は、まさにわたしが知りぬいていること。どこを舞台にしていると思う? ジョン・グリア孤児院よ! しかも、いいのよ、ダディ。
本当にいい出来だって自分で思うの。日々起こるほんのささいな出来事を描いているの。わたし、もうリアリストなの。ロマン主義は捨てたわ。でもそれはまた後で戻るつもり。わたし自身の冒険的な未来が始まったら、そのときにね。
この新しい本は、ちゃんと最後まで書き上がって、しかも出版されるのよ。そうならなかったら見ていなさい。何かを心の底から強く望んで、あきらめずに努力し続ければ、最後には手に入るものなの。わたし、あなたから手紙をもらおうとして四年間がんばってきたけれど、まだ希望は捨てていないわ。
さようなら、いとしいダディ。
(ダディ・ディアって呼ぶの、韻みたいで好きなの。)
愛をこめて
ジュディ
追伸。農場のニュースを伝えるのを忘れていたけれど、どれも気の滅入る話ばかりなの。あまり心をかき乱されたくなかったら、この追伸は読まないでね。
かわいそうに、年とったグローヴが死んでしまったの。もう噛めなくなってしまって、撃たなければならなかったのよ。
先週、イタチかスカンクかネズミに、鶏が九羽もやられてしまったの。
牛が一頭病気になって、ボニーリグ・フォー・コーナーズから獣医さんに来てもらわなくちゃならなかった。アマサイは一晩中つきっきりで、亜麻仁油とウイスキーを飲ませていたの。でも、気の毒な病気の牛が、実際には亜麻仁油しかもらえなかったんじゃないかって、みんなひどく疑っているの。
センチメンタル・トミー(べっ甲猫)がいなくなってしまったの。罠にかかったのではないかと心配しているのよ。
世の中には本当にいろいろな災難があるものね!
五月十七日
親愛なるダディ・ロング・レッグズへ。
これはものすごく短い手紙になるわ。ペンを見るだけで肩が痛いんですもの。昼間じゅう講義のノート、夕方じゅう不朽の名作小説。書くことが多すぎるのよ。
卒業式は次の次の水曜日から三週間後。あなた、来てわたしと知り合いになってくださってもいいと思うの。来てくださらなかったら嫌いになるから! ジュリアはジャーヴィー様を招くの。だって身内だもの。サリーはジミー・マクブライドを招くの。やっぱり身内だもの。でも、わたしにはだれを招けばいいの? あなたとリペット夫人しかいないのよ。でも、あの人は来てほしくない。お願い、来てちょうだい。
愛をこめて。作家痙攣つきの
ジュディ
翻訳注記: この翻訳は AI によって自動生成されたものであり、不自然な表現や誤りが含まれている可能性があります。原典の格調高い雰囲気を再現するよう努めていますが、正確な内容は原語版をご参照ください。