WorldClassicsJP

世界文学の至宝

ジーン・ウェブスター

あしながおじさん

第 6 部

いちばん幸せなのは、もちろん私よ! だってもう孤児院にはいないし、誰かの子守やタイピストや帳簿係になるわけでもないんですもの。(あなたがいてくださらなかったら、きっとそうなっていたでしょうけれど。)

今では、これまでの自分の悪さをみんな反省しています。

リペット夫人に生意気な口をきいたことも、ごめんなさい。

フレディ・パーキンスをひっぱたいたことも、ごめんなさい。

砂糖つぼに塩を入れたことも、ごめんなさい。

理事たちの背中の後ろで変な顔をしたことも、ごめんなさい。

私はこれから、こんなに幸せなんだから、みんなに優しく、愛らしく、親切にして、いい子になります。この夏は、たくさんたくさん書いて、偉大な作家への第一歩を踏み出すつもりです。なんて気高い決意でしょう! ああ、私、すてきな人格を育てつつあるのよ! 寒さや霜には少ししおれてしまうけれど、お日さまが照ればぐんぐん伸びるんです。

それって、誰だって同じだと思うの。苦難や悲しみや失望が道徳的な強さを育てる、なんていう説には賛成できません。幸せな人こそ、やさしさにあふれているものです。人間嫌いなんて、私は信用しません。――いい言葉でしょう! つい今覚えたの。あなたは人間嫌いじゃありませんわよね、ダディ?

キャンパスのことを話しかけていたのでした。あなたがちょっと訪ねてきてくださって、私に案内させてくれたらいいのに。

「こちらが図書館です。これは発電所ですわ、親愛なるダディ。左手のゴシック建築が体育館で、その隣のチューダー・ロマネスク風の建物が新しい医務室です」

ああ、人を案内するの、私とっても上手なんです。孤児院ではずっとそれをしてきたし、ここでも今日一日じゅうしていました。本当よ。

しかも、相手は男の人だったんです!

これは大変な経験です。私、これまで男の人と話したことなんて一度もありませんでしたから。(たまに来る理事たちは別です。あの人たちは勘定に入らないもの。)失礼、ダディ。理事の悪口を言って、あなたの気分を害するつもりはないの。あなたは本当の意味では、あの仲間じゃないと思っています。ただ偶然、理事会にまぎれこんだだけなんですもの。理事というものは、たいてい太っていて、もったいぶっていて、慈善家ぶっているものです。頭をぽんぽんとなでて、金の時計鎖をぶらさげているの。

今のは、六月の甲虫みたいに見えるけれど、あなた以外の理事なら誰でもいいから、その肖像画のつもりです。

さて――話を続けますと。

私は今日、男の人と散歩して、おしゃべりして、お茶までしたんです。それも、とてもすてきな男の人と。ジュリア・オブ・ザ・ハウスのおじさま、ジャーヴィス・ペンドルトンさんと。つまり彼女の伯父さまです。(いや、伯父さまと言うより“長いおじさま”と言うべきかしら。あなたと同じくらい背が高いんですもの。)町へ仕事で来たついでに、大学まで足をのばして姪を訪ねる気になったのです。彼はジュリアのお父さまのいちばん下の弟なのですが、ジュリアとはそれほど親しくありません。赤ん坊のころにちらりと見て、気に入らないと決めてしまい、それ以来ほとんど相手にしてこなかったそうです。

とにかく、その方が応接室にきちんと座っていらしたの。帽子と杖と手袋を脇に置いて。そしてジュリアもサリーも、七時間目の授業があって抜け出せなかったのです。そこでジュリアは私の部屋へ駆けこんできて、その方をキャンパスに案内して、七時間目が終わったら自分のところへ連れてきてほしいと頼みました。私は引き受けました。親切心はあったけれど、気乗りはしませんでした。だって私はあまりペンドルトン家が好きではないんですもの。

でも、その方は実際には、とても感じのいい人でした。ほんとうに人間らしい方で、まるでペンドルトン家の人みたいじゃなかったの。私たち、とても楽しい時間を過ごしました。私はずっと、おじさんというものが欲しかったんです。ダディ、あなた、私のおじさんのふりをしてくださってもいやじゃない? おばあさまより、ずっと上等なもののような気がするの。

ペンドルトンさんは、二十年前のあなたを少し思わせました、ダディ。会ったことはなくても、私はあなたをとてもよく知っているんですもの!

背が高くて少しやせていて、日に焼けた顔にはしわがたくさんあって、いちばんおかしいのは、口もとに浮かびそうで浮かびきらない、あの下からにじむような笑みなのです。ただ口の端をくしゃっとさせるだけ。でも、その人には、会ったとたんに、ずっと前から知り合いだったような気分にさせるところがあります。とても親しみやすい方です。

私たちは中庭から運動場まで、キャンパスじゅうを歩きまわりました。それから彼が、もうふらふらだからお茶を飲まなくちゃ、と言い出したの。大学の構内を少し出た松並木のそばにあるカレッジ・インへ行こう、と。私はジュリアとサリーを迎えに戻るべきだと言ったのですが、彼は、自分の姪たちにはあまりお茶を飲ませたくない、神経質になるから、とおっしゃるのです。そこで私たちは二人だけでこっそり抜け出して、バルコニーの上の小さなすてきなテーブルで、お茶とマフィンとマーマレードとアイスクリームとケーキをいただきました。その日は月末でみんなのお小遣いが乏しい時期だったので、宿屋は都合よくがら空きでした。

本当に愉快だったのよ! でも彼は戻るなり汽車に飛び乗らなくてはならなくて、ジュリアにはほとんど会えませんでした。ジュリアは、自分のおじさまを私が連れまわしたので、私にかんかんでした。その方は、ひどくお金持ちで、しかもなかなか望ましい伯父さまらしいの。私としては、その人がお金持ちだとわかってほっとしました。だってお茶代や何やかやで、一人六十セントもかかったんですもの。

今朝(月曜日です)、ジュリアとサリーと私のところへ、チョコレートの箱が三つ、急便で届きました。どう思います? 男の人からお菓子をもらうなんて!

私はだんだん、捨て子ではなく、ひとりの女の子になっていく気がします。

いつかあなたも来て、一緒にお茶をして、私があなたを好きになれるかどうか見せてくださいな。でも、もし好きになれなかったら、ぞっとするでしょうね。もっとも、きっと好きになるとわかっていますけれど。

ビヤン! 心からごあいさつを送ります。

「私は決してあなたを忘れません」

ジュディ

追伸 今朝、鏡を見たら、これまで見たこともない新しいえくぼができているのを見つけました。とても不思議です。いったいどこから来たと思います?

6月9日

親愛なるダディ・ロング・レッグズさま

なんてうれしい日でしょう! たった今、最後の試験、つまり生理学を終えたところです。そして、これから――

三か月間、農場で過ごすのです!

農場というものがどんなところなのか、私にはまるでわかりません。生まれてこのかた、一度も行ったことがないのですもの。見たことすらほとんどありません。(汽車の窓からちらりと見たくらい。)でも、きっと大好きになるし、自由でいることもきっと大好きになると思います。

私はまだ、ジョン・グリア・ホームの外にいることに慣れていないのです。それを思うたび、興奮した小さな震えが背中を駆け上がったり駆け下りたりするの。もっともっと速く走って、しかも後ろをふり返って、リペット夫人が腕を伸ばして私をつかまえ、連れ戻しに来ていないか確かめなくてはならないような気がするんです。

この夏、私は誰の言うことも聞かなくていいんでしょう?

名目の上でのあなたの権威なんて、少しも気になりません。だってあなたは遠すぎて、私に何の害も与えられないんですもの。リペット夫人は、私に関するかぎり、永遠に死んでしまったも同然ですし、センプル夫妻は私の道徳上の幸福を見張る役目を負わされているわけではありませんよね? ええ、きっとそうではないわ。私はすっかり大人なんですもの。ばんざい!

では今から、旅行かばん一つと、やかんやお皿やソファのクッションや本を詰めた箱を三つ、荷造りしに行きます。

いつまでもあなたの

ジュディ

追伸 これが私の生理学の試験問題です。あなたなら合格できたと思います?

ロック・ウィロー農場
土曜の夜

いちばん親愛なるダディ・ロング・レッグズさま

着いたばかりで、まだ荷ほどきもしていないのですが、農場がどんなに気に入ったか、どうしてもすぐにお伝えしたくてたまりません。ここは天国みたいな、ほんとうに、ほんとうに、ほんとうにすばらしいところです! 家はこんなふうに四角くて、しかも古いの。百年くらいたっているのでしょう。横には私には描けないベランダがあって、前にはかわいらしいポーチがあります。この絵ではぜんぜんよさが出ていないのだけれど、羽ばたきみたいに見えるものはカエデの木で、車道の縁に並ぶとげとげしたものは、さやさや鳴る松やツガの木なんです。家は丘のてっぺんに建っていて、はるか向こう、何マイルも続く緑の牧草地の先に、また別の丘並みが見渡せます。

コネティカットというところは、そんなふうにマルセル・ウェーブみたいな起伏が続いているのです。そしてロック・ウィロー農場は、そのひとつの波の頂にあるの。納屋は昔、道の向こう側にあって景色をじゃましていたのだけれど、天から親切な稲妻がひらめいて、焼き払ってくれたんですって。

いるのは、センプルさん夫妻と、雇いのお手伝いの女の人が一人、男の人が二人。雇い人たちは台所で食事をして、センプル夫妻とジュディは食堂で食べます。夕食にはハムエッグとビスケットと蜂蜜とジェリーケーキとパイとピクルスとチーズと紅茶が出て、それにたっぷりのおしゃべりもつきました。私、こんなに人を楽しませたことは生まれて初めてです。私の言うことは何でもおかしいみたい。きっとそうなんでしょうね。私はこれまで一度も田舎に来たことがなくて、私の質問という質問が、万事にわたる無知に裏打ちされているんですもの。

十字のついている部屋は、殺人が行われた部屋ではなくて、私が使っている部屋です。広くて四角くて、がらんとしていて、いかにも昔風の愛らしい家具があり、窓は棒でつっかえなければ開けておけず、金の縁どりのある緑のブラインドはさわると落ちてきます。それに大きな四角いマホガニーのテーブルがあって、この夏じゅう私はそこにひじを広げて、小説を書くつもりです。

ああ、ダディ、私はもう興奮でいっぱい! 夜が明けて探検できるようになるまで待ちきれません。今は八時半で、これからろうそくを吹き消して、眠ろうとしているところです。朝は五時に起きるのよ。こんなに楽しいことってあるかしら? これがほんとうにジュディの身に起こっていることだなんて信じられません。あなたと神さまは、私に値する以上のものをくださるんですもの。そのお返しに、私はきっと、とてもとても、とてもいい人にならなくちゃ。そうなります。きっとご覧に入れます。

おやすみなさい

ジュディ

追伸 カエルたちの歌や子ぶたたちの鳴き声を、あなたにも聞かせてあげたいし、見せてあげたいのに。

翻訳注記: この翻訳は AI によって自動生成されたものであり、不自然な表現や誤りが含まれている可能性があります。原典の格調高い雰囲気を再現するよう努めていますが、正確な内容は原語版をご参照ください。