WorldClassicsJP

世界文学の至宝

ジーン・ウェブスター

あしながおじさん

第 5 部

……急いで
J. A.

3月26日

D・L・L・スミス様

拝啓 あなたはどんな質問にもお返事をくださらないし、私のすることに少しも関心を示してはくださいません。きっと、あのいやな評議員の方々の中でも、とびきりいやな方なのでしょう。私に教育を受けさせてくださるのも、私のことを少しでも気にかけているからではなく、ただ義務感からに違いありません。

私はあなたのことを何ひとつ知りません。お名前さえ知らないのです。得体の知れない「もの」に向かって手紙を書くなんて、まったく気の乗らない仕事です。どうせ私の手紙なんか、読まずにくずかごへ放りこんでいらっしゃるのでしょう。
これからは勉強のことだけ書くことにします。

先週、ラテン語と幾何学の再試験がありました。両方とも合格して、もう補習科目はなくなりました。

敬具
ジルーシャ・アボット

4月2日

親愛なるダディ・ロング・レッグズ様

私、ほんとうにケダモノです。

先週お送りした、あのひどい手紙のことはどうか忘れてくださいませ。あの晩の私は、ひどく淋しくて、みじめで、そのうえ喉まで痛くて、すっかりすさんだ気持ちになっていたのです。自分では気づいていませんでしたけれど、扁桃腺炎や流行性感冒や、いろいろなものがいっぺんに出かかっていたのでした。今は病室にいて、もう六日になります。起きあがってペンと紙を持つことを許されたのは、今日が初めてです。主任看護婦さんは、とても威張っています。でも私はこのことをずっと考えていて、あなたに許していただけるまでは、よくなれそうにありません。

頭に包帯をうさぎの耳みたいに結びつけられた、今の私の姿を絵にしてお見せしたいくらいです。

これで少しは同情していただけないでしょうか。私は舌下腺が腫れているのです。しかも一年じゅう生理学を勉強してきたのに、舌下腺なんてもの、一度も聞いたことがありませんでした。教育というものは、なんとむなしいのでしょう!

もうこれ以上は書けません。長く起きていると、少しふらふらしてくるのです。
どうか、私の無礼と恩知らずをお許しください。私はしつけが悪かったものですから。

愛をこめて
ジュディ・アボット

病室にて
4月4日

いちばん親愛なるダディ・ロング・レッグズ様

昨日の夕方、あたりが薄暗くなるころ、私はベッドに起きあがって雨を眺めながら、大きな施設の中の暮らしにうんざりしていたのですが、そのとき看護婦さんが、私宛ての細長い白い箱を持って現れました。中には、この上なくかわいらしい、薄桃色の薔薇のつぼみがぎっしり詰まっていたのです。そしてそれ以上にうれしかったのは、そこに、一風変わった右上がりの小さな筆跡で、とても丁寧な言葉をしるしたカードが添えられていたことでした(でも、あの字には、とてもお人柄が出ています)。ありがとうございます、ダディ、何千回でもお礼を申し上げます。

あのお花は、私が生まれて初めてもらった、ほんとうの贈り物でした。私がどれほど子どもっぽいか知りたければ、うれしさのあまり横になって泣いてしまったと言えば充分でしょう。

あなたが私の手紙を読んでくださるのだとわかった以上、これからはもっと面白い手紙を書くことにします。赤いリボンをかけて金庫にしまっておく値打ちのあるような手紙にしますから。ただ、お願いです、あのひどい手紙だけは取り出して燃やしてしまってください。あとで読み返されたりしたらと思うと、たまらなくいやです。

病気で、意地悪で、みじめだった新入生を元気づけてくださって、ありがとうございました。たぶんあなたには、愛情深いご家族やご友人がたくさんいらして、ひとりぼっちがどんな気持ちかなどご存じないのでしょう。でも私は知っています。

さようなら。もう二度といやな子にはならないと約束します。だって今では、あなたがほんとうに生身の人だとわかったのですもの。それから、これ以上質問であなたをわずらわせないとも約束します。

それでも、まだ女の子はお嫌いですか?

いつまでもあなたの
ジュディ

月曜日、第八時限

親愛なるダディ・ロング・レッグズ様

ひきがえるの上に腰を下ろした評議員さんは、まさかあなたではありませんよね? あれは、聞くところによると、かなり派手にぽんっといったそうですから、たぶんもっと太った評議員さんだったのでしょう。

ジョン・グリア孤児院の洗濯場の窓のそばに、格子のかかった半地下みたいなくぼみがあったのを覚えていらっしゃいますか。毎年春になってひきがえるの季節が来ると、私たちはかえるを集めては、あの窓の穴に入れて飼っていたものでした。そして時にはそれが洗濯場になだれこんで、洗濯日のたびに実に愉快な大騒ぎを引き起こしたのです。そういう遊びについては、私たちもずいぶん厳しく罰せられましたけれど、どんなに思いとどまらせようとしても、ひきがえるのほうは集まってきてしまうのでした。

それである日……詳しいことは退屈でしょうから申しませんけれど、とにかく、いちばん太って大きくて、みずみずしいひきがえるの一匹が、評議員室の大きな革張りの肘掛け椅子に入りこんでしまい、その日の午後の評議員会で……でも、その場にはあなたもいらして、あとのことは覚えておいででしょう?

今になって、時を経て冷静にふり返ってみますと、あの罰は当然であり、しかも――記憶が正しければ――充分なものでした。

どうしてこんなに昔を思い出す気分なのかわかりません。ただ、春と、ひきがえるの再登場は、いつも私の古い収集癖を目覚めさせるのです。今すぐ収集を始めないでいられるたったひとつの理由は、それを禁じる校則が存在しないということです。

木曜日、礼拝のあと

私のいちばん好きな本は何だと思います? 今この時点で、ですけれど。三日ごとに変わるんです。『嵐が丘』です。エミリー・ブロンテは、あれを書いた時まだとても若くて、ハワースの教会墓地の外へ一度も出たことがなかったのですよね。男の人ともほとんど接したことがなかったはずなのに、どうしてヒースクリフみたいな男の人を想像できたのでしょう?

私にはとても無理です。私だって若いし、ジョン・グリア孤児院の外には出たことがないのに、これ以上ないくらいの機会には恵まれてきたはずなのですもの。ときどき、自分は天才ではないのではないかという恐ろしい不安に襲われます。ダディ、もし私が将来、大作家になれなかったら、ひどくがっかりなさいますか? 春になって、何もかもがこんなに美しく、緑で、芽吹いてくると、授業なんかに背を向けて、天気と遊びに逃げだしたい気持ちになります。野原には冒険がいくらでも転がっているのですもの。本を書くより、本のように生きるほうが、ずっと面白いのです。

あっ!!!!!!!

今のは悲鳴です。サリーとジュリアと、ついでに向かいの部屋の上級生まで(ほんの一瞬、心底いやそうな顔をして)飛んできました。原因は、こんなむかででした。ただし本物はもっとひどいのです。ちょうど最後の文を書き終えて、その次に何を書こうかと思っていたら――ぽとん!――天井から落ちてきて、私のすぐそばに着地したのです。逃げようとして、ティーテーブルの上のカップを二つひっくり返してしまいました。サリーが私のヘアブラシの背でそれを叩き、二度と使えなくしてしまったうえで、前半分は退治しましたが、後ろの五十フィートぶんは化粧だんすの下にもぐりこんで逃げました。

この寄宿舎は古くて、壁が蔦におおわれているせいで、むかでだらけなのです。あれは本当にぞっとする生きものです。ベッドの下に虎がいるほうがまだましです。

金曜日、午後9時30分

困ったことばかりです! 今朝は起床ベルに気づかず、あわてて着替えようとしていたら靴ひもは切れるし、カラーのボタンは首筋の中へ落ちるし。朝食にも、第一時限の朗読の授業にも遅れてしまいました。吸い取り紙を持っていくのを忘れたので、万年筆はインクを漏らしました。三角法では、教授と私が対数のちょっとした問題でもめたのですが、あとで調べたら先生のほうが正しかったのです。昼食は羊肉のシチューとルバーブのパイでした。どちらも大嫌い。孤児院の味がするのです。

郵便で来たのは請求書ばかりでした(もっとも、ほかのものが届くことなんて、もともとないのですが。うちの家族は手紙を書くたぐいではありませんから)。今日の午後の英語の授業では、不意打ちの筆記課題が出ました。こんなものです。

私はほかには何も求めなかった。
ほかの何ものも拒まれはしなかった。
私はそれと引きかえに存在そのものを差し出した。
偉大なる商人は微笑んだ。

ブラジル? 彼はボタンをひねっていた、
私には目もくれずに。
ですが、マダム、ほかに何か
本日お見せできるものはございませんか?

これは詩なのです。誰が書いたのかも、何を意味しているのかも私にはわかりません。教室に入ると黒板にこれが書いてあるだけで、私たちはそれについて論じなさいと命じられたのです。第一連を読んだとき、私はわかったような気がしました。偉大なる商人とは、善い行いの見返りに祝福を授ける神さまのような存在なのだろう、と。けれど第二連へ行って、その人がボタンをひねっていると知ると、それではあまりに不敬な解釈に思えて、私はあわてて考えを変えました。クラスのみんなも同じ窮地に陥っていて、私たちは三十分ならぬ四十五分ものあいだ、白紙の紙と、同じくらい真っ白な頭を前にして座っていたのです。教育を受けるというのは、ほんとうに骨の折れる仕事です!

でも、これで一日が終わったわけではありません。もっとひどいことがこのあとに待っていたのです。

雨が降ったのでゴルフはできず、かわりに体育館へ行かなくてはなりませんでした。隣の女の子にインディアン・クラブで肘をぶつけられました。部屋へ帰ると、新しい青い春服の箱が届いていたのですが、スカートがきつすぎて座れないのです。金曜日は掃除の日で、メイドが私の机の上の紙をみんなごちゃまぜにしてしまっていました。デザートは墓石みたいなもの(牛乳とゼラチンにバニラで味をつけたもの)でした。礼拝では「女らしい女」についての演説を聞かされて、いつもより二十分も長く居残りさせられました。そしてそのあと、やっと、ふうっとひと息ついて『ある婦人の肖像』を読もうと腰を落ち着けた、ちょうどそのとき……

翻訳注記: この翻訳は AI によって自動生成されたものであり、不自然な表現や誤りが含まれている可能性があります。原典の格調高い雰囲気を再現するよう努めていますが、正確な内容は原語版をご参照ください。