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GPT-5.6は「政府の許可」がないと使えない?ヨーロッパは独自のAnthropicを求める 2026年6月29日のAIニュース

GPT-5.6は「政府の許可」がないと使えない?ヨーロッパは独自のAnthropicを求める 2026年6月29日のAIニュース

最新・最強のAIモデルが、誰でもすぐ使えるわけではない時代になってきました。今週は「AIモデルへのアクセス権を誰が決めるのか」という、これまであまり意識されてこなかった問題が一気に表面化しました。さらに、デザインの現場では誰でも使えるAI機能も登場しています。

OpenAIの新モデル「GPT-5.6」、まずは政府公認の約20社限定で公開

OpenAIが6月26日、次世代モデル「GPT-5.6」を発表しました。今回は1つのモデルではなく、用途別に3段階の「Sol(ソル)」「Terra(テラ)」「Luna(ルナ)」という3つのモデルが用意されています。

  • Sol: 複雑なプログラミングやセキュリティ研究など、最も難しい問題向け
  • Terra: カスタマー対応や社内ツール、文書分析など、企業の日常業務向け
  • Luna: 要約や下書きなど、速さとコストを重視した日常作業向け

ところが、最大の特徴はモデルの性能ではなく「公開の仕方」でした。OpenAIは「米国政府からの要請を受けて」、まずは政府と情報共有済みの信頼できる約20の組織だけに限定して先行提供すると発表したのです。一般ユーザーや開発者が使えるようになるのは「数週間後」とされています。

わかりやすく言うと:新しいクルマが発売されても、最初は「政府に登録された特定の会社」しか購入できず、一般の人はしばらく買えない、というイメージです。OpenAI自身も「広く使えるようにしたい」「この仕組みが長期的な標準になってほしくない」とコメントしており、本意ではない制限であることをにじませています。

Claude「Mythos 5」が一部解禁、ヨーロッパは「自前のAnthropic」を要求

一方のAnthropicでは、別の形で「アクセス制限」が問題になっています。今年6月、米商務省はAnthropicの最新モデル「Claude Fable 5」「Claude Mythos 5」について、米国外の利用を禁じる輸出規制を発令していました。

その規制が6月下旬、一部だけ緩和されました。安全装置なしの版である「Mythos 5」について、米国内で重要インフラ(電力・水道・通信網など)を守る組織に限り、輸出許可なしで利用できるようになったのです。ただし「Fable 5」はこの記事の時点でもまだ利用停止が続いています。

この騒動を見て動いたのがヨーロッパです。オーストリアのデジタル担当国務長官が、EUのテクノロジー担当委員に書簡を送り、「AnthropicをEU域内に誘致・拠点設置できないか検討してほしい」と要請したと報じられました。米国の輸出規制が及ばない場所にAnthropicを置けば、ヨーロッパの企業や政府機関が「米国の判断ひとつでAIが急に使えなくなる」というリスクから逃れられる、という狙いです。

例え話で言うと:とても便利な工場(AIモデル)が、本社のある国の都合で突然「他の国には製品を売らない」と言い出してしまった状況です。困った他の国が「うちの国内に工場の支店を作ってくれないか」と頼みに行っている、というところでしょうか。Anthropicはすでに数百億ドル規模でAmazonなどとデータセンター投資を進めており、実現には大きなハードルもありそうです。

Figmaがデザインに「アニメーション」機能を標準搭載

少し明るい話題もあります。デザインツールのFigmaは6月24日の年次イベント「Config 2026」で、新機能「Figma Motion(フィグマ・モーション)」を発表しました。デザイン画面の中でキャラクターやボタンの動き、画面遷移のアニメーションを直接作成できる機能で、全プランでベータ公開が始まっています。

タイムラインにキーフレームを置いたり、あらかじめ用意された動きのパターンを選んだりするだけで、専門的なアニメーションの知識がなくてもアプリやウェブサイトの「動き」を作れます。作った内容はCSSやJSON、動画ファイルなど、エンジニアが使いやすい形式にそのまま書き出せます。

なぜ重要か:これまでアニメーションを作るには別の専門ツールが必要で、デザイナーとエンジニアの間でやり取りに時間がかかっていました。Figma Motionのようにデザインツールの中で完結すれば、アイデアを思いついてから実際の動きを確認するまでの時間が大幅に短くなります。GPT-5.6やAnthropicの話のような「誰が使えるか」の制限とは対照的に、こちらは「誰でもすぐ使える」AI関連機能として広がっています。

今後の注目ポイント

  • GPT-5.6 Sol/Terra/Lunaが「数週間後」に予告通り一般公開されるか
  • Claude Fable 5の輸出規制がいつ・どのような形で解除されるか
  • オーストリアの提案にEUや他の加盟国がどう反応し、Anthropicの拠点誘致が具体化するか
  • Figma Motionのような「現場で誰でも使えるAI機能」が他のツールにも広がるか

まとめ

2026年6月下旬は、最先端のAIモデルほど「誰が使えるのか」を政府が判断する場面が増えていることが目立ちました。OpenAIのGPT-5.6は米国政府の意向で限定公開となり、AnthropicのMythos 5も用途を絞った形でしか使えません。この流れに対し、ヨーロッパは「自分たちの判断で使えるAI」を求めて独自の動きを見せています。一方でFigma Motionのように、現場の誰もが気軽に使えるAI機能も着実に増えており、「最先端ほど制限され、身近な機能ほど広がる」という二極化が進んでいるように見えます。

(情報源:2026年6月24日〜29日の各種メディア報道・OpenAI/Anthropic/Figma公式発表を基にまとめています)

この投稿は投稿者によって CC BY 4.0 の下でライセンスされています。