ラドヤード・キプリング
ジャングル・ブック
第 1 部
『ジャングル・ブック』
ラドヤード・キップリング作
プロジェクト・グーテンベルク電子書籍版『ジャングル・ブック』
この電子書籍は、アメリカ合衆国および世界の多くの地域において、ほとんど制限なく、無料で誰でも利用することができます。本書は、複製、譲渡、再利用が可能ですが、その際はこの電子書籍に含まれる、または www.gutenberg.org で閲覧できるプロジェクト・グーテンベルク・ライセンスの条件に従う必要があります。アメリカ合衆国外にお住まいの場合は、利用前に居住国の法律をご確認ください。
書名:The Jungle Book
著者:Rudyard Kipling
公開日:2006年1月16日[電子書籍番号236]
最終更新日:2023年5月1日
言語:英語
その他の情報・形式:www.gutenberg.org/ebooks/236
ジャングル・ブック
ラドヤード・キップリング作
目次
モーグリの兄弟たち
シーオニー狼群の狩りの歌
カーの狩り
バンダル=ログの道行き歌
「虎よ、虎よ!」
モーグリの歌
白いアザラシ
ルカノン
「リッキ・ティッキ・タビ」
ダージーの歌
象使いトゥーマイ
シヴとバッタ
陛下の召使いたち
野営動物たちの行進歌
モーグリの兄弟たち
いま夜を運ぶは凧のラン、
その夜を蝙蝠マンが解き放つ。
家畜は囲いと小屋に閉じこめられ、
夜明けまで自由なのはわれらだけ。
いまこそ誇りと力の刻、
鉤爪、牙、鋭き爪の刻。
さあ呼び声を聞け――よき狩りを、
ジャングルの掟を守る者すべてに!
――『ジャングルの夜の歌』
シーオニーの丘に、ひどく蒸し暑い夕べの七時が訪れたころ、父さん狼は昼の眠りから目を覚ました。体をかき、あくびをし、足先の眠気を追い払うように、前足を一本ずつゆっくり伸ばした。母さん狼は、大きな灰色の鼻面を、転がりまわってはきゃんきゃん鳴く四匹の子狼の上にのせて横たわっていた。月明かりは、一家の住む洞穴の口から差しこんでいる。
「ううむ」と父さん狼が言った。「また狩りの時間だ」
そう言って丘を駆け下りようとしたとき、ふさふさした尾をもつ小さな影が入口をよぎり、鼻にかかった声で言った。
「ご武運を、狼たちの長よ。そして気高いお子たちにも、幸運と強く白い歯が授けられますように。この世の飢えた者たちを、けっして忘れぬように」
それはジャッカルのタバキ、皿なめと呼ばれるやつだった。インドの狼たちは、悪さをして歩き、告げ口をし、村のごみ溜めからぼろ切れや革きれをあさって食うタバキを軽蔑していた。だが同時に恐れてもいた。というのも、ジャングルの誰よりも狂いやすいのがタバキで、いったん発狂すると、それまで誰を恐れていたかも忘れ、森じゅうを駆けまわって、行く手のものを何にでも噛みつくからだ。小さなタバキが狂えば、虎でさえ逃げて身を隠す。狂気は野生の獣に降りかかる災いのうち、もっとも恥ずべきものだからである。人間はこれを恐水病と呼ぶが、獣たちはデワニー、つまり狂い病と呼んで逃げる。
「なら入って見ればいい」と父さん狼はよそよそしく言った。「だが、ここには食いものはないぞ」
「狼にとってはそうでしょう」とタバキは言った。「だが、わたしのようなつまらぬ者には、乾いた骨でも立派なごちそうです。われらギドゥル=ログ[ジャッカル族]ごときが、えり好みなどできましょうか」
彼は洞穴の奥へすばしこく入りこみ、少し肉のついた雄鹿の骨を見つけると、楽しげに端を噛み砕きながら座りこんだ。
「このうまい食事に感謝いたします」と、彼は唇をなめて言った。「なんと美しい、気高いお子たちでしょう。なんと大きな目でしょう。そして、なんとお若いこと! まことに、王の子は生まれながらにして王者だということを、わたしも思い出すべきでした」
タバキは、子どもを面と向かってほめるほど縁起の悪いことはないと、誰よりよく知っていた。母さん狼と父さん狼が居心地悪そうな顔をするのを見て、彼は満足した。
タバキは、しでかした意地悪を喜びながらじっと座り、それから毒を含んだ口調で言った。
「大物のシア・カーンが、狩り場を移しました。次のひと月はこの丘で狩りをするそうですよ。じきじきにそう聞きました」
シア・カーンは、ここから二十マイル離れたワインガンガ川の近くに住む虎だった。
「あいつにそんな権利はない!」と父さん狼は怒って言いかけた。「ジャングルの掟では、前もってきちんと知らせもせずに縄張りを変えることは許されていない。十マイル四方の獲物がみな怯えてしまう。しかも近ごろのわたしは、二匹分狩らねばならんのだ」
「母親があれをラングリー[びっこ]と呼んだのも、わけがあってのことですよ」と母さん狼が静かに言った。「生まれつき片足が不自由なの。だから牛しか狩れないのよ。いまワインガンガの村人たちはあれに腹を立てていて、それで今度はこちらの村人たちまで怒らせに来たのです。あれ自身は遠くへ行ってしまっても、村人たちはジャングルじゅうをさらいに来るでしょう。そして草に火を放たれれば、わたしたちも子どもたちも逃げまどうことになる。ほんとうに、シア・カーンには感謝しなくてはね!」
「その感謝の言葉を、あいつに伝えましょうか」とタバキが言った。
「出ていけ!」と父さん狼はぴしゃりと言った。「出ていって主人と狩りをしろ。今夜ひと晩で、おまえはもう十分すぎるほど害をなした」
「では失礼します」とタバキは静かに言った。「下の茂みでシア・カーンの声が聞こえるでしょう。伝言など持って来ずともよかったくらいです」
父さん狼は耳を澄ました。すると、小川へと下っていく谷の底から、獲物を逃し、しかもジャングルじゅうにそれを知られても構わぬとでもいうような、虎特有の、乾いて怒った、うなり混じりの節回しのある声が聞こえてきた。
「ばかなやつだ」と父さん狼は言った。「あんな騒ぎで夜の仕事を始めるとは! ここの鹿が、ワインガンガの太った牛どもと同じだと思っているのか」
「しっ」と母さん狼が言った。「今夜あれが狙っているのは牛でも鹿でもない。人間よ」
うなり声は、方角もわからぬほど四方八方から響くような、低い唸りへと変わった。それは、野宿している木こりや旅芸人を混乱させ、ときにはそのまま虎の口元へ走りこませてしまう、あの音だった。
「人間だと?」父さん狼は白い牙をむき出しにした。「ふん! 池にはカブトムシも蛙もいくらでもいるだろうに、人間を食わねばならんのか。しかも、われらの縄張りで!」
ジャングルの掟は、理由なく何かを命じることは決してないが、どんな獣にも人を食うことを禁じている。ただし、自分の子に狩りを教えるために殺す場合だけは別で、そのときも自分の群れや一族の狩り場の外で行わねばならない。本当の理由は、人食いをすれば遅かれ早かれ、銃を持った白人たちが象に乗ってやって来て、さらに何百人もの褐色の人間たちが銅鑼や花火や松明を手に押し寄せるからである。そうなれば、ジャングルのすべてが被害を受ける。だが獣たちが互いに言い交わす理由は別だ。
人間は生き物の中でもっとも弱く、無防備であり、そんなものに手を出すのは狩人の恥だ、というのである。さらに彼らはこうも言う。これも事実なのだが、人食いになった獣は毛並みが悪くなり、歯も抜け落ちる、と。
唸り声はますます大きくなり、ついには虎が突進するときの、腹の底から響く「アーール!」という咆哮になった。
すると、シア・カーンのものとは思えぬ叫び声が響いた。
「仕損じたわね」と母さん狼が言った。「どうしたの?」
父さん狼は数歩外へ走り出た。すると、藪の中で転げまわりながら、シア・カーンが怒ってぶつぶつとうなっているのが聞こえた。
「ばかめ、木こりの焚き火に飛びかかるほどの分別もなかったらしい。足を焼いたんだ」と父さん狼は鼻を鳴らした。「タバキもいっしょだ」
「何かが丘を上がってくるわ」と母さん狼が片耳をぴくりと動かした。「用意して」
茂みの中で、灌木がかすかに揺れた。父さん狼は後肢をたたみ、いつでも飛びかかれる姿勢をとった。そのとき、もし見ていたなら、この世でもっとも不思議な光景を目にしたことだろう。狼が跳びかかるその途中で、ぴたりと動きを止めたのである。何に飛びつこうとしているのか見る前に跳躍してしまい、それから慌てて止まろうとしたのだ。その結果、四フィートか五フィートほど真上に跳ね上がり、ほとんど元の場所に降り立った。
「人間だ!」と彼は叫んだ。「人間の子だ。見ろ!」
目の前には、低い枝につかまりながら立っている、裸の褐色の赤ん坊がいた。ようやく歩けるようになったばかりの子で、そのやわらかさ、えくぼの愛らしさといったら、夜の狼の洞穴にやって来たものの中でも、これ以上ないほどだった。その子は父さん狼の顔を見上げて、笑った。
「それが人間の子?」と母さん狼は言った。「わたし、一度も見たことがないわ。ここへ連れていらっしゃい」
自分の子をくわえて運ぶことに慣れた狼は、必要とあれば卵をくわえても割らずに運べる。父さん狼の顎はその子の背中をしっかりくわえたが、歯は一本たりとも肌を傷つけなかった。そうして彼は、その子を子狼たちの間にそっと置いた。
「なんて小さいの! なんて裸で……なんて大胆なの!」と母さん狼はやさしく言った。赤ん坊は、温かな毛皮に触れようと、子狼たちのあいだを押し分けて進んでいた。「まあ! この子、ほかの子たちといっしょにお乳を飲もうとしているのね。これが人間の子なの。ねえ、自分の子どもたちの中に人間の子がいると自慢できる狼なんて、これまでいたかしら?」
「そんな話は、たまには聞いたことがある。だがこの群れではないし、少なくともわたしの知るかぎりでは一度もない」と父さん狼は言った。「まるで毛がない。わたしなら前足でひと押しするだけで殺せる。だが見ろ、こちらを見上げても少しも怖がらん」
そのとき、洞穴の口をふさいでいた月明かりが遮られた。シア・カーンの大きく四角い頭と肩が、入口へぬっと差しこまれたからである。後ろではタバキが甲高い声でわめいていた。
「ご主人さま、ご主人さま、あれはここへ入りました!」
「シア・カーンは、われらにたいそうなご名誉をくださることだ……」
翻訳注記: この翻訳は AI によって自動生成されたものであり、不自然な表現や誤りが含まれている可能性があります。原典の格調高い雰囲気を再現するよう努めていますが、正確な内容は原語版をご参照ください。